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捕鯨問題Q&A

Q. ICJ判決が出たにもかかわらず、日本は調査捕鯨を続けるのですか?
A.

  2010年5月、豪州は、日本が行っている第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPA2)が国際捕鯨取締条約に違反しているとして、国際司法裁判所(ICJ)に提訴し、ICJは、2014年3月、以下を要点とする判決を出しました。

  • JARPA2は、調査の計画及び実施が調査目的を達成するために合理的なものと立証されておらず、 国際捕鯨取締条約第8条1に規定する科学目的の調査とは言えない。
  • 日本は、将来、第8条1に基づく許可証の発給の可能性を検討する際は、この判決に含まれている理由付けと結論を考慮することが期待される。
  一方で判決は、日本側の主張を踏まえた上で以下の点を指摘しました。
  • 国際捕鯨取締条約の目的の一つが鯨類資源の持続可能な利用であること
  • JARPA2の活動は概ね科学調査と特徴付けることができること
  • JAPRA2が求めるいくつかのデータの収集は非致死的手法では実行不可能であり、致死的調査の使用はJARPA2の目的との関係で不合理ではないこと
  • 鯨類捕獲調査の副産物である鯨肉の販売及びその収得金の活用を伴う調査は、その点のみをもって違法とはならないこと
  以上の判決を踏まえ、農林水産大臣は、平成26年4月18日付けの談話の中で、「国際法及び科学的根拠に基づき、鯨類資源管理に不可欠な科学的情報を収集するための鯨類捕獲調査を実施し、商業捕鯨の再開を目指すという基本方針を堅持。」することを示しました。
  この基本方針の下、日本は、今後とも引き続き、調査捕鯨を実施します。

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Q. 世界の人々は捕鯨をどう思っているのですか?
A.

 世界の中で捕鯨を行っている国は多く、日本のほか、アイスランド、ノールウェー、ロシア、アメリカ、デンマーク、カナダ、インドネシア、セントビンセントなどがあります。
 また、IWC加盟国88カ国のうち、39カ国は鯨類の持続可能な利用を支持する国です。
 従って、世界中の国々がそろって捕鯨に反対しているかのような理解は間違いです。

  さらに、かつてアメリカのリサーチ会社が、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリアでそれぞれ捕鯨に関する世論調査を行ったところ、資源状態が健全であり、適正な捕獲枠の下で行われることなどの一定の条件の下であれば、4カ国とも捕鯨に賛成するとの回答が過半数を超える結果となりました。また、最近、築地の外国人観光客を対象に「日本を観光中に鯨料理を食べてみたいですか」とのアンケートを行ったところ、国籍を問わず半数の外国人は「食べてみたい」と回答していました。世界中で捕鯨が反対されているとの考えは誤りで、むしろ大半が無関心であり、正しい情報を与えられれば捕鯨に対し理解が得られるものと思います。


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Q. 反捕鯨団体などは、なぜ捕鯨に反対するのですか?
A.

  反捕鯨団体などは、その時々に応じ、いろいろな理屈をこねて捕鯨に反対します。鯨は賢い動物で神聖な動物であるから人間が食べてはならない、水族館で飼育してはならないなど、とても一方的で感情的な主張が多く、反対のための反対であると言わざるを得ません。反捕鯨活動団体などの本当の目的は何であろうと考えさせられます。
  反捕鯨団体が捕鯨に反対する時に述べることは、例えば、@捕鯨を再開すると、すぐにまたクジラが絶滅の危機に瀕するから、Aクジラを食べなければならない理由はないから、Bクジラの捕獲方法が残酷だから、捕鯨に反対というものです。どれも捕鯨に反対するための口実としか思えない理由ばかりです。それぞれの反対理由について、もう少し詳しく見てみましょう。

@    捕鯨を再開すると、すぐにまたクジラが絶滅の危機に瀕するから

かつて商業捕鯨がクジラの乱獲を招き、一部の大型クジラを絶滅の危機に追い込んだ歴史があることは事実です。当時は、欧米の国々を中心に鯨油生産を目的とする捕鯨産業が盛んでしたし、資源管理体制も十分に確立されていませんでした。現在は、食料生産を目的とする捕鯨しか行われておらず、以前に比べ厳格な資源管理体制の下で行われることから、クジラを再び絶滅の危機に追いやることは考えられません。

A    クジラを食べなければならない理由はないから

 「日本は裕福な国であり、他に食べ物はいくらでもあるのだからクジラまで食べる必要はない。そもそもクジラを食べたいと思っている日本人はそんなに多くない。」随分と傲慢な言い分ではないでしょうか。そもそもクジラを食べる機会が減ったのは、商業捕鯨モラトリアムによって鯨肉の流通量が大幅に減ったからです。日本人がクジラを食べなくなったのではなく、食べられなくなったのです。

 日本という国は、南北に長く山脈の多い地形で、多種多様な食文化があります。食は量さえ足りれば何を食べても変わらないというものではなく、それぞれの生活環境、自然、そして歴史に基づいて発展していき、食文化として続いてきました。クジラを獲り食べることは、そのような食習慣を有する地域の人々にとってかけがえのない文化なのです。

B    クジラの捕殺方法が残酷だから

 人道的な配慮から、クジラの即死率を高め、致死時間を短くするための努力は常に払われています。かつて電気銛の使用が残酷だとして、これを廃止したこともありました。

 現在の調査捕鯨では、捕獲されたクジラのほとんどは爆発銛によって、即座に捕殺されています。そうでない場合は二次的捕殺方法(二番銛や大口径ライフル銃)によって捕殺時間が可能な限り短縮されるようにしています。この2つの方法はもっとも効率よく人道的な捕殺を行うことができるように導入されたもので、IWCは爆発銛がクジラの捕殺にもっとも有効な手段であるとし、捕鯨の人道性がこれにより格別に進歩を遂げたとしています。鯨の捕殺は即死か致死時間2分以下であり、これは他の野生生物の捕殺時間と比較してもずっと優れています。

他の狩猟行為と比べ、捕鯨が特別残酷だとは思いませんので、やはりこの理由の根底には、「クジラは神聖な生き物」という偏見があるのではないでしょうか。


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国際捕鯨委員会(IWC)について

Q. IWCとは何ですか?
A.

  国際捕鯨委員会(International Whaling Commission:IWC)は、「鯨類の適当な保存を図って捕鯨産業の秩序ある発展を可能にする」ことを目的に、1946年に締結された国際捕鯨取締条約に基づいて、1948年に設立された国際機関です。世界の主要捕鯨国(15カ国)によって発足し、日本は1951年に加盟しています。

  2012年までは毎年1回年次会合が開催されていましたが、その後本委員会は隔年開催となりました。下部機関の科学委員会は毎年開催されています。

 IWCでは、 「商業捕鯨モラトリアム」や「サンクチュアリー」といった提案に代表される条約の附属書修正には、全投票数の4分の3の賛成票が必要となります。附属書が修正された場合、それは全加盟国を拘束するものですが、定められた手続きにより、IWCに「異議申し立て」を行えば、拘束されることはありません。ノルウェーやアイスランドが現在でも商業捕鯨を続けているのは、商業捕鯨モラトリアムに「異議申し立て」を行っているためです。一方、全投票数の過半数の賛成票で採択される「決議」には拘束力はありません。


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Q. どのような国が加盟していますか?
A.

  2015年1月現在、88カ国が加盟しています。かつては捕鯨再開を強く主張する国は日本、ノルウェーなど少数でしたが、最近では鯨類資源の持続的利用を支持する加盟国が増え、捕鯨支持国と反捕鯨国の勢力関係が拮抗しています。

捕鯨支持国(39カ国) 反捕鯨国(49カ国)
アジア
中近東
日本、カンボジア、モンゴル、中国、韓国、ラオス(計6) インド、イスラエル、オマーン(計3)
アフリカ ガボン(注1)、カメルーン、ガンビア、ギニア、コートジボワール、セネガル、トーゴ、ベナン、マリ、モーリタニア、モロッコ、ギニアビサウ、コンゴ共和国、タンザニア、エリトリア、ガーナ(計16) ケニア、南アフリカ(計2)
欧州 アイスランド、ノルウエー、ロシア、デンマーク(計4) アイルランド、イタリア、英国、オランダ、オーストリア、サンマリノ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、チェコ、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポルトガル、モナコ、ルクセンブルグ、クロアチア、スロベニア、キプロス、ルーマニア、リトアニア、エストニア、ポーランド、ブルガリア(計27)
大洋州 パラオ、ナウル、マーシャル、ツバル、キリバス、ソロモン(計6) 豪州、ニュージーランド(計2)
北米
中南米
アンティグア・バブーダ、グレナダ、スリナム、セントクリストファーアンドネービス、セントルシア、ドミニカ連邦、セントビンセント・グレナディーンズ(計7) 米国、アルゼンチン、チリ、パナマ、ブラジル、メキシコ、ベリーズ、ペルー、コスタリカ、エクアドル、グアテマラ、ニカラグア、ウルグアイ、ドミニカ共和国、コロンビア(計15)
(注1)政権交代後、最近は反捕鯨国からの影響を強く受けています

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Q. どのようなクジラを管理していますか?
A.

  IWCが管理対象としているのは、全世界で約80種いる鯨類の中で、シロナガスクジラ、ミンククジラなどの大型鯨類計13種。それ以外の鯨類はIWCの管理対象となっておらず、国、地域ごとに管理されています。

表:IWCが管理している鯨類
  和名
ヒゲクジラ ナガスクジラ科 シロナガスクジラ、ナガスクジラ、イワシクジラ、ニタリクジラ、ミンククジラ、ザトウクジラ
コククジラ科 コククジラ
セミクジラ科 ホッキョククジラ、セミクジラ
コセミクジラ科 コセミクジラ
ハクジラ マッコウクジラ科 マッコウクジラ
アカボウクジラ科 ミナミトックリクジラ、キタトックリクジラ

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Q. IWC内で、いつごろから対立が始まったのですか?
A.

  1972年を境にIWCの様相が変わってきました。IWCの設立から現在までの具体的な流れは次の通りです。

IWC設立(1948〜1960年) 活動当初は捕鯨国主体の資源管理の初期段階。科学データも少なく、南極海以外での捕獲枠もまだ決められていませんでした。
1960〜72年 1960年代からは国別捕獲枠や鯨種ごとの捕獲禁止措置を実施し、資源管理を強化。その結果、アメリカ、イギリス、オランダ、オーストラリアなどの主要捕鯨国が、採算の合わなくなった捕鯨産業より撤退。かわって動物愛護、自然保護思想などの動きも高まり、反捕鯨運動が活発化します。1972年に開催された国連人間環境会議では、商業捕鯨の10年間のモラトリアム(一時停止)が採択されますが、IWCでは科学的に正当性がないとして否決しています。
1972〜82年 1972年を境に、反捕鯨派と捕鯨派の対立が激化。反捕鯨派が多数派工作を展開した結果、1982年までの間に25カ国がIWCに新規加盟。反捕鯨国が75%以上の多数を占めるようになり、1982年に商業捕鯨のモラトリアムが可決されました。
1982年〜 1982年のモラトリアムによって、1986年から大型鯨の商業捕鯨は一時停止となりました。しかし、モラトリアムの付帯条件には、1990年までに新たな捕獲枠を設定することを明記しています。一方、IWC科学委員会は1990年、南極海のミンク鯨の資源量として76万頭の推定値に合意し、1992年には安全な捕獲枠を算出する改定管理方式(RMP)を完成。こうした事実に反し、、その後もモラトリアムは取り下げられることなく、1994年には南極海サンクチュアリー(鯨類保護区)が設定されるなど捕鯨論争が続いています。そんな中、モラトリアムに異議申し立てを行っているノルウェー(1993年〜)とアイスランド(2006年〜)がそれぞれ商業捕鯨を再開しました。日本は捕鯨再開を目指し、1987年から調査捕鯨を実施し、資源管理に必要な科学的データを収集しています。

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世界の捕鯨の現状

Q. いまでも捕鯨をしている国はあるのですか?
A.

  現在でも捕鯨は世界各地で行われています。これらの捕鯨は、かつて鯨油を目的に乱獲につながった捕鯨ではなく、長い歴史と独自の文化に根ざした、クジラを食料として有効に活用する持続可能な捕鯨です。

  現在、世界で行われている捕鯨は、次のタイプに分けられます。

I)先住民生存捕鯨
国名・地域 捕獲対象種 推定資源量 年間捕獲枠
米国・アラスカ州
ロシア・チュクチ自治管区
ホッキョククジラ 約11,800頭 約67頭
米国ワシントン州
ロシア・チュクチ自治管区
コククジラ 約19,000頭 約140頭
デンマーク・西グリーンランド   ナガスクジラ 約4,500頭 10頭
ミンククジラ 約17,000頭 178頭
ホッキョククジラ 約1,750頭 2頭
ザトウクジラ 約3,000頭  9頭
 デンマーク・東グリーンランド ミンククジラ    12頭
セント・ビンセント(ベックェイ島沿岸) ザトウクジラ 約10,000頭 4頭

 
II)ノルウェー・アイスランドの商業捕鯨
地域 捕獲対象種 資源状況  年 捕獲頭数
ノルウェー ミンククジラ 約81,000頭 1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
157頭
206頭
218頭
388頭
503頭
625頭
591頭
487頭
552頭
634頭
647頭
544頭
639頭
545頭
597頭
536頭
484頭
468頭
533頭
464頭
594頭
 アイスランド ナガスクジラ
ミンククジラ
ミンククジラ

ナガスクジラ
ミンククジラ
ナガスクジラ
ミンククジラ


ナガスクジラ
ミンククジラ
   2006年

2007年
2008年
2009年

2010年

2011年
2012年
2013年
 7頭
1頭
6頭
38頭
125頭
81頭
148頭
60頭
58頭
52頭
134頭
35頭
 

III)IWC非加盟国による捕鯨
国名・地域 捕獲対象種 年間捕獲数(推定)
フィリピン(フィリピン沿岸) ニタリクジラ 約5頭
インドネシア(レンバタ島) マッコウクジラ 20〜50頭
カナダ(北極海沿岸住民) ホッキョククジラ 申請があった時のみ1〜2頭

 
IV)IWCの管轄外にある小型鯨類の捕獲

  IWCで管理対象としているのは、条約で定められた13種類の大型鯨類だけです。イルカ類などの小型鯨類は対象としていません。

  小型鯨類は沿岸性の種類が多く、狭い海域ごとに多くの系統群に別れているため、IWCで国際的に一括管理するよりも各国、あるいは地域漁業機関で管理するほうが適切だと考えられています。


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Q. 日本ではどのような種類の捕鯨を行っていますか?
A.

 日本では商業捕鯨モラトリアムが発効して以降、1987/88年から南極海で、1994年から北西太平洋でそれぞれ鯨類捕獲調査を行っています。 国際捕鯨取締条約第8条の規定に従って、日本政府からの特別許可の下、(一財)日本鯨類研究所が実施しているもので、鯨類の資源管理に必要な科学的情報の収集を目的としますが、国内で流通する鯨肉の大半はこの捕獲調査の副産物です。
 調査について詳しくは同研究所のホームページ(http://www.icrwhale.org/)をご参照ください。

 その他、 網走、石巻、南房総、太地、函館では沿岸小型捕鯨が行われています。現在でも捕鯨は地域共同体の中で、社会・経済・文化的に重要な意味を持ち、米国やロシアの先住民捕鯨と同様の性格を有しています。ところが国内で商業捕鯨モラトリアムが発効して以来、沿岸小型捕鯨地域ではそれまで主要な捕獲対象であったミンククジラの捕獲が行えなくなりました。現在は、IWCの管轄外のツチクジラ、ゴンドウクジラ類の捕獲を日本政府の管理のもとで行っています。沿岸小型捕鯨の年間捕獲枠(平成26年度)はツチクジラ66頭、タッパナガ36頭、マゴンドウ36頭、オキゴンドウ20頭と厳しく制限されています。

  日本は、商業捕鯨モラトリアムによって困窮している伝統的捕鯨地域社会を救済するために、モラトリアム導入以来、毎年IWCでミンククジラの捕獲枠を要求していますが、未だに認められていません。1991年のIWC科学委員会では、日本の太平洋沿岸に回遊するミンククジラの資源量を2万5千頭と推定し、健全な資源であることが合意されています。ミンククジラの捕獲再開は沿岸小型捕鯨地域の悲願です。


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鯨の資源について
Q. 鯨は何種類いるのでしょうか?
A.

  現在確認されているクジラは84種類です。大きく分けるとヒゲクジラ類(14種)と、ハクジラ類(70種)のふたつに分類されます。

  ヒゲクジラ類は、上あごの両側にクシの歯のように200〜300枚ものひげ板をもつ仲間で、鼻の穴が2つあり、あごの下に長いスジ(ウネ)がある種類もいます。

  ハクジラ類は、あごに鋭い歯をもつ仲間で、鼻の穴はひとつです。ハクジラ類のうち、4メートルより小さいものはイルカと呼ばれています。


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Q. クジラは絶滅に瀕しているのでは。世界中にどのくらい生息しているのでしょう?
A.

  クジラの資源量はそれぞれの種類によって異なります。生息環境の悪化で個体数が減少しているカワイルカなど、少数の種類を除けば、本当に絶滅に瀕しているクジラはいません。かつて資源管理が行われないまま乱獲の対象となった大型のシロナガスクジラ、セミクジラなどの資源量は極めて低い水準にまで落ち込みましたが、現在では完全に保護されており、絶滅の危機にはありません。また、ミンククジラやニタリクジラ、マッコウクジラのように、資源状態のよいクジラもいます。国際捕鯨委員会(IWC)科学委員会が推定する鯨の資源量は次のとおりです。

鯨種 対象海域 推定年度 推定資源量(頭数)
ミンククジラ 南半球 1992/93-2003/04 515,000
北大西洋(北東部) 2002-07 81,000
北大西洋(中部) 2005-07 40,000
北大西洋(西グリーンランド) 2007  17,000
北西太平洋及びオホーツク海 1989-90 25,000
シロナガスクジラ 南半球(ピグミーシロナガスクジラを除く) 1997/98 2,300
ナガスクジラ 北大西洋(東グリーンランド〜フェロー諸島) 2007 22,000
北大西洋(西グリーンランド) 2007 4,500
コククジラ 北太平洋(東部) 2006 19,000
北太平洋(西部) 2007 121
ホッキョククジラ ベーリング/チュクチ/ボーフォート海 2004 11,800
西グリーンランド(餌場) 2010 1,750
ザトウクジラ 北西大西洋 1992/93 11,600
南半球(夏季南緯60度以南餌場) 1997/98 42,000
北太平洋 2007 22,000
セミクジラ 北大西洋 2010 490
南半球 2009 12,000
ニタリクジラ 北太平洋(西部) 1999-2000  21,000
ゴンドウクジラ 中部及び北東大西洋 1989 780,000
(IWCホームページhttps://iwc.int/estimateより)

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鯨肉について

Q. これからも鯨を食べることが出来ますが?
A.

 日本は商業捕鯨の再開を目指し、今後も調査捕鯨を継続していく方針です。先のICJ判決は「鯨類捕獲調査の副産物である鯨肉の販売及びその収得金の活用を伴う調査は、その点のみをもって違法とはならない」と判じましたので、調査捕鯨で捕獲した鯨は食料として加工され、これまでどおり市場に供給されていきます。したがって調査副産物である鯨肉が日本の市場からなくなることはありません。また、最近ではアイスランドやノルウェーからも鯨肉が輸入されています。その他、国内には沿岸小型捕鯨による鯨肉や、定置網に混獲された鯨の肉も流通しており、今後も年間5,000トン程度の供給は見込まれています。


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Q. クジラを食べてもいいのですか?
A.

  もちろん食べて大丈夫です。現在、商業捕鯨は行われておりませんが、国内では、鯨類捕獲調査の副産物、IWC規制対象外のクジラやイルカのお肉、アイスランドやノルウェーからの輸入鯨肉、定置網などで混獲されたクジラのお肉などが食用として流通しており、すべて合法的な食品です。その上、調査副産物、輸入鯨肉、混獲クジラは個体ごとにDNA登録されており、トレーサビリティが確立されています。

DNA分析を活用した鯨肉市場実態調査の実施について↓
http://icrwhale.org/02-A-10.htm


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Q. 鯨肉は栄養的にどのような特徴があるのでしょうか?
A.

  鯨肉は美味しいのはもちろんのこと、ビタミンAが豊富で低カロリー、低コレステロールのヘルシーな食品として注目されています。牛肉や豚肉、鶏肉と比べタンパク質が多く、脂肪分のほとんどが良質の多価不飽和脂肪酸のため、成人病の予防にもよい食品です。さらに、他の食肉と比べてアレルギー症状をおこすことが少なく、食物アレルギーに悩む人にとっては重要なタンパク源となります。
 さらに、鯨肉にはクジラ特有のアミノ酸物質の「バレニン」が豊富に含まれています。検証実験の結果、「バレニン」には抗疲労効果や疲労回復効果が確認されており、最近ではこの「バレニン」を使用したサプリメントや栄養剤がいくつも開発されています。


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Q. クジラは捨てるところなく利用できると聞きましたが、本当ですか。
A.

  本当です。日本人は、クジラを油や肉だけではなく、骨やヒゲ板まですべて捨てることなく利用してきました。1832年には鯨の約70もの部位について調理法を記した「鯨肉調味方」が出版されています。日本人にとってクジラは海の幸。貴重なタンパク源として縄文時代から利用されてきました。皮、五臓六腑まで食べ物として利用する日本のクジラ料理は世界にも類を見ない素晴らしい食文化です。


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Q. 海洋汚染は進んでいて鯨にも汚染物質が高い割合で蓄積されていると聞きますが、南極海で捕獲されるクロミンククジラの肉は大丈夫なのですか?
A.

  クロミンククジラの筋肉・脂皮は汚染のもっとも少ない食品の一つです。

  南極海は、地球上で最も人為的な化学汚染が少ない海域です。こらまでの鯨類捕獲調査によって継続的なモニタリングが行われていますが、現在までのところ、クロミンククジラの脂皮や筋肉中に蓄積されたPCBやDDTといった人口有機塩素化合物や水銀はごく微量で、厚生労働省の定めた暫定的規制値を大きく下回っており、クロミンククジラの鯨肉は最も汚染されていない食品の一つです。調査で得られた汚染物質に関する調査結果の詳細は、日本鯨類研究所のホームページ(http://www.icrwhale.org/03-A-b-06-1.htm)で公開しています。


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日本の捕鯨の伝統と文化

Q. クジラと日本人の歴史は古いのですか?
A.

  石川県の真脇遺跡からは約5,000年前(縄文時代前期〜中期)のイルカの骨が大量に出土、九州でも約4,000年前(縄文時代中期〜後期)の遺跡からクジラの椎骨を製造台にして作られた土器(底面に椎端の圧痕を残しているので「鯨底土器」と呼ばれている)が多く発見され、また長崎県壱岐の原の辻遺跡から出土した約2,000年前(弥生時代中期後半)の甕棺に捕鯨図が描かれており、712年成立の『古事記』にもクジラが登場しています。このように大昔からクジラと日本人との付き合いがありました。
 先史時代から現在に至るまで、日本人はクジラとともに生きてきました。日本の長い歴史の中で、捕鯨を通じて信仰が生まれ、また唄や踊り、伝統工芸など多くの捕鯨文化が実を結び、伝承されてきています。これこそ、日本人がクジラとともに歩んできた歴史の証ではないでしょうか。今、日本が誇るこの捕鯨の伝統と食文化の大切さを再認識する時代にきています。


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Q. 日本各地に鯨信仰や鯨に関する祭り・芸能があるのはなぜですか?
A.

  鯨信仰は、ひとつには大漁祈願が考えられます。日本人にとって鯨は富や食料をもたらすエビス様として沿岸地域に深く密着してきました。また、捕鯨によって恩恵を得る反面、殺生を行うことに対する戒めの意味から、鯨を供養するという仏教信仰、さらには、すべてのものには霊魂が宿っているという霊魂観から、たたりを恐れ、豊漁を願う気持ちがこめられていたのでしょう。そのため、日本人は、鯨の供養塔や墓、過去帳などを作り、法要をおこなってきました。日本各地に鯨に係る祭りや芸能があるのは、日本人と鯨が共に歩んできたという歴史の証だといえます。


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Q. 日本の捕鯨と鯨食文化はどのように普及してきたのですか?
A.

●捕鯨技術の進歩と普及〜  12世紀ごろになると、積極的に船をこぎだし、銛で突く「突き取り式捕鯨」が生まれます。江戸時代に入り、1606年に和歌山の太地で日本最初の捕鯨専業組織「鯨組」が設立され、組織的な捕鯨が始まります。さらに1675年には「網取り式捕鯨」が開発され、この捕鯨方法が土佐、長崎などへ伝播しました。

●庶民の食べ物として普及していくクジラ〜  日本では、仏教の伝来とともに、獣の肉を食べることが禁止されていたために、魚の食文化が発展してきました。クジラは魚の仲間と考えられていたため、貴重な動物タンパク源として古来から利用されてきました。クジラが食品として広く普及し始めるのは、江戸時代に入ってからになります。江戸時代には、大量のクジラ肉が流通し、庶民の食べ物として普及していきました。部位ごとに料理方法を記載した鯨料理の専門書も登場し、同時に、各地でクジラの墓や供養碑が建てられて供養が行われるとともに、唄や踊りなど芸能文化が発展していきました。


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Q. 現代の捕鯨はどのように発展してきたのですか?
A.

  日本の近代捕鯨は1899年に、汽船に搭載した砲から綱のついた銛を発射してクジラを捕獲する「ノルウェー式捕鯨」の導入によって始まります。欧米の捕鯨船による日本周辺での乱獲により、日本の捕鯨はいったんは衰退しますが、この新捕鯨法によって沿岸捕鯨が復活し、1934年には南氷洋に進出します。戦後、この南氷洋捕鯨が日本の食糧難を救うことになります。伝統的に鯨をすべて利用してきた日本は、商業捕鯨モラトリアムで中止になるまで商業捕鯨を続けてきました。。


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