
4−4.定置網以外の漁具に混獲された場合
1放獣
・刺し網等により洋上で鯨体が生きた状態で混獲された場合には,現場でただ
ちに海に戻す努力をする。
2報告
・鯨体の特徴からできる範囲で種を判別し(断定できない場合は,体色などの
特徴や大きさを記録しておく),各都道府県または市町村の水産担当部署に 連絡するとともに,「6.報告」により報告する。
4−5.漁港内に鯨類が入ってきた場合
港湾内にクジラやイルカが入り込んで(迷入して)遊泳している場合には,動物がふつうに泳いでいる限りは放置しておくことが望ましい。
多くの場合,港湾内に迷入した鯨類は時間が経過すれば,自発的に外海へ戻っている。しかし,河川に入り込んでさらに上流へ進んでいるような場合は,そのまま放置すると座礁してしまうことも考えられる。
いずれの場合でも,連続観察を続けて動物の状況を把握し,動物が自力で脱出できないと判断されれば,救出措置が必要となる。
1連絡
・付録1にあげた関係問い合わせ先が近隣にある場合には,まず,漁港内に鯨
類が入ってきている旨の情報を伝えて,その指示にしたがう。場合によって ,専門家が派遣されてくることがある。
2状況判断と救出作業の選択
・専門家の指示がすぐに得られなくても,漁業その他の生産活動に直接の影響
がなく,鯨体がとくに異状なく遊泳している場合には,そのまましばらく様 子を観察し,改めて専門家の指示を得る。
・漁業等,人間生活に影響が出ると判断された場合および動物が自力ではその 水域を脱出できないと判断された場合には,救出作業を行う。
・救出には,
1.迷いこんだ水域から外に追い出す方法
2.巻網などの漁具を使って動物を一旦とらえ,沖合で放獣する方法
とがある。
・どちらの場合も十分な人員と小型船舶を必要とする。
3救出作業
・追い出しは,複数の船舶を用いて,沖への追い出しを行う。鯨類は,音に敏
感なため,追い出す方向と逆に船を配置し,水面をたたいたり,鉄パイプを 海中に垂直に差し込み,ハンマーで鉄パイプをたたいて金属音を発しながら,沖へ追い出すことを試みる。
・巻網等の漁具による捕獲は,新たな羅網につながる危険があるため,追い出 しがうまくいかない場合やつぎのような場合以外は行わない。すなわち,動
物が生きてはいても,外傷を負うなど,生命に危険があると判断される状態で遊泳している個体については,水族館等の飼育施設で収容・治療できる条件が整っている場合は,生け捕りにして収容する。この場合,網で取り上げ,中にダイバーが入って船に持ち上げるか,尾柄に幅広のロープをかけて吊り上げるなどして取り上げを行う。但し,イルカより大きな中〜大型鯨で,生け捕りが困難な場合は,そのまま放置するしかない。
・沖合で放獣する場合の注意事項については,4-3-[1]にしたがう。
4報告
・厳密な意味での座礁・混獲ではないが,「6.報告」にしたがって,関係機関に報告
をしておくとよい。またその際,状況を示す写真があるとよい。