商業捕鯨一時停止(モラトリアム)の採択からちょうど20年が経過した今年、5月20日から24日まで、国際捕鯨委員会(IWC)の第54回年次総会が国内では9年ぶりに山口県下関市で開催されました。今年のIWC総会は、国内開催ということもあって会期中は連日テレビや新聞で大きく報じられ、その結果についてはすでに概ねご存知のことと思いますが、ここではそうした報道からは伝わらない会議の隠れた成果について述べることにします。
露呈した米国のダブルスタンダード
今回の総会で注目すべきポイントのひとつが、米国とロシアの共同提案であるホッキョククジラを対象とした原住民生存捕鯨の捕獲枠延長を否決したことです。同提案は2003年から2007年まで米国アラスカ州のイヌイットとロシア・チュコト自治管区の先住民にホッキョククジラ280頭の捕獲枠を認めるというもので、これまでは5年ごとに無条件で承認してきました。しかし今回は投票に付され、日本を始めとする14カ国の反対で否決しました。日本は原住民生存捕鯨の必要性についてはこれまで同様支持しましたが、ホッキョククジラの資源状況に配慮し、捕獲枠は一年ごとに要求すべきだと主張しました。
ホッキョククジラは現在でもIWC科学委員会が保護資源に指定しており、資源水準は7,000頭から9,000頭です。これを改訂管理方式(RMP)と呼ばれる商業捕鯨の捕獲枠算出方式に当てはめた場合、今後30年間は捕獲禁止(捕獲枠ゼロ)となります。 |
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米国は自国の原住民による捕鯨は資源状態にかかわらず認める一方で、日本近海に25,000頭生息する資源の良好なミンククジラについて日本が求めている暫定的な沿岸捕鯨の捕獲枠については絶対に認めようとしません。ホッキョククジラの捕獲枠延長に反対した国々はこうした米国のダブルスタンダードを厳しく非難しました。今回原住民生存捕鯨の捕獲枠延長問題で議論が紛糾したことで、米国は自国のダブルスタンダードを広く露呈する結果となりました。
加盟国の増加で勢力関係が拮抗
今総会から新たにベニン、ガボン、モンゴル、パラオ、ポルトガル、サンマリノの6カ国が加盟し、昨年再加盟しながら反捕鯨国からオブザーバー扱いされたアイスランドを含めると現在の加盟国は49カ国に増えました。こうした加盟国の増加に伴い、日本の主張に同調する国も着実に増え、ここにきてIWCにも改善の兆しが見えてきました。日本が毎年行っている沿岸捕鯨の暫定的捕獲枠要求では、投票結果が賛成20、反対21と過半数にまであと一歩と迫りました。可決するには4分の3以上の賛成が必要ですが、私がIWC総会に日本政府代表団として参加するようになった10年前から比べれば格段の進歩です。なにしろ当時は加盟39ヶ国の中で捕鯨を推進すべきだという国は日本を含め5カ国しかありませんでした。
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